営業運転資本回転期間
- フリガナ
- えいぎょううんてんしほんかいてんきかん
ローカルベンチマークによる営業運転資本回転期間は以下の計算式で計算される。
営業運転資本回転期間 | = | 売上債権+棚卸資産-仕入債務 |
売上高÷12 |
「売上債権+棚卸資産-仕入債務」は、営業活動を行うために投資し拘束されている資金(運転資本)を示している。
この運転資本を月平均売上高で除することで求められる経営指標が営業運転資本回転期間である。これにより、企業が営業を行うために月平均売上高の何か月分の資金が拘束されているか、または、必要であるかを確認することができる。
【解説】
・運転資本とは
企業は、商品などの棚卸資産を仕入れ、それを販売する。そして販売代金(売上債権)を回収し、これを通して得た利益を再投資する。このプロセスを繰り返すことで企業は大きく成長することになる。このプロセスを営業循環と呼ぶ。
ここで、商品などの棚卸資産を購入するためには、手元の資金を棚卸資産と交換することになるため、資金が拘束されていることになる。また、掛売上で売上債権を取得したとしても、まだ手元に資金がない。そのため、他の投資にまわすことはできず、資金が拘束されていることになる。
一方、棚卸資産を掛で購入した場合には、仕入債務を負うことになるが、これは手元の資金を使わないで済んだこと、すなわち、資金が拘束されていない状態を意味する。そのため、運転資本のマイナス要素となる。
・営業運転資本回転期間の良し悪し
営業運転資本回転期間が短い企業は、①棚卸資産の取得、②販売、③販売代金の回収という営業プロセスが短い期間で完結する会社である。投下した資金が短期間のうちに資金化され再度投資に回せることを意味しているため、経営効率が良く、また、資金繰りに余裕がある会社といえる。逆に、営業運転資本回転期間が長い企業は、経営効率が悪く、資金繰りが厳しい会社ということができる。
・実例検討
業種によって運転資本を多く必要とする業種とそうでない業種がある。具体的に実例を見てみると以下のとおりとなる。なお、指標算定の対象とした企業は、日本を代表する上場企業を選定している。
経営指標 | 製造業A社 | 建設業B社 | 卸売業C社 | 小売業D社 | 不動産業E社 |
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営業運転資本回転期間 | 0.8ヶ月 | 1.4ヶ月 | 3.2ヶ月 | 0.3ヶ月 | 4.2ヶ月 |
小売業D社は営業運転資本回転期間が0.3ヶ月と非常に短くなっているが、小売業の特色として現金販売が多く、資金化が早いことが考えられる。
また、不動産業E社はほかの業種に比べて営業運転資本回転期間が長くなっている。これは、不動産業社は販売用の不動産を多く抱えており、建設から販売まで比較的長期にわたる営業プロセスを前提としているためである。